法人の再生・破産

法人の民事再生・任意整理

本業の収益が上がっているにもかかわらず、設備投資のため過大な負債を負い、利払いに追われている場合や、不採算部門の損失補填のため経営が圧迫されている場合には、過大な負債を適切な額にまでカットし、抜本的なリストラクチャリングを行うことにより、事業再建を図ることができます。
事業が継続すれば、従業員の雇用が確保され、取引関係も維持されるうえ、債権者としても、将来収益から破産配当を上回る弁済を受けることが可能となります。

金融機関との間で個別に協議し、弁済期を繰り延べて利払いを継続するだけでは、問題を先送りするだけで抜本的な解決にはならず、可能な限り早い段階で民事再生を申し立て、負債(利息のみならず元本も)をカットする方が適切な場合も多くあります。

民事再生を申し立てた場合には、信用不安により売上が減少するだけでなく、現金取引(キャッシュ・オン・デリバリー)でなければ取引に応じてもらえない取引先もあることから、一時的にキャッシュフローが悪化します。
そのため、民事再生手続中に資金ショートしないよう、申立前に少なくとも数か月分の事業経費(買掛金、事業所の賃料、従業員への給与等)を弁済できるだけのキャッシュを確保しておく必要があります。
民事再生の決断が遅れ、借入金の返済を長期間続けるうちにキャッシュが枯渇すれば、もはや民事再生を申し立てるだけの体力が会社に残っておらず、自己破産せざるを得なくなる場合もあり得ます。
抜本的な解決を図るためには、少しでも早い段階で、民事再生をも視野に入れた法的対応を検討するのが適切です。

いずれにせよ、法人の民事再生では、再生計画の認可決定確定までの短期間に、平常時とは異なる法律関係を大量に処理する必要があるため、高度の専門知識及び経験を要します。
これまで10年間にわたり、都内事務所において、法人の民事再生手続における申立代理人及び監督委員補佐並びに裁判外の任意整理の代理人として関与してきた経験を活かし、企業の再建に尽力します。

法人破産

事業再建が困難な場合には、自己破産を申し立てることになります。これにより、債権者からの個別の取立ては停止し、以降は、裁判所から選任された破産管財人が、債権者対応を含め、破産手続を遂行します。破産管財人は、法人の財産を全て換価し、債権者に配当することになります。

また、法人が支払不能に陥れば、法人の代表者個人の連帯保証責任が顕在化します。代表者個人もあわせて自己破産の申立てを行うことにより、債権者からの取立てを止めて負債を整理し、生活の再建を図ることができます。

従業員は、破産申立てに伴い解雇されることになりますが、労働者健康安全機構による立替払い制度により、未払給与及び退職金のうち相当額(原則として未払額の80%)の支払を受けることができるため、法人に給与及び退職金を支払うだけのキャッシュがない場合でも、自己破産を申し立てることにより、一定の限度で従業員の生活の安定を図ることができます。

当事務所では、負債総額が数十億円に上る複数の法人破産事件に破産管財人代理として関与し、また破産管財人としても法人破産事件を処理してきた経験を踏まえ、適切かつ迅速に申立てを遂行します。