債務整理

借金の返済が困難になった場合は、無理な返済を続けるよりも、できるだけ早く弁護士に相談して過大な債務を整理し、生活を立て直した方が良いと考えられます。
借入金額や返済状況、収入等を詳しくお伺いした上で、最善の解決方法をご提案します。

債務整理の手続

受任通知の発送

まずは、弁護士が代理人に就任したことを借入先に通知します。これにより、貸金業者やサービサーからの直接の取立てを止めることができます。
しかし、これはあくまで暫定的な措置に止まります。抜本的な解決を図るためには、引き続き、以下の各種手続を行う必要があります。

任意整理・過払金返還請求

返済方法を見直せば借金の完済が可能となる場合には、弁護士が代理人となって債権者と交渉し、返済期間の延長や、元本及び利息のカットを求めます。これにより、無理のない返済計画を立てることができます。また、過払金が発生している場合には、すみやかに返還を請求します。
任意整理は、裁判所を介さない手続であるため、任意整理を行っていることを第三者に知られずに済むというメリットがあります。

ただし、任意整理はあくまで債権者との個別交渉ですので、債権者が応じない場合や、応じる見込みがない場合には、自己破産又は個人再生の申立てを検討することになります。

自己破産

裁判所に破産手続を申し立て、借金の免除(免責)を求めます。裁判所から免責が許可されれば、税金等の一部の債務を除き、借金が全額免除されます。

他方、自宅や自家用車等の財産は、債権者への配当に充てるため、破産管財人が処分することになりますので、原則として手放さなくてはなりません。また、破産手続が終結するまでの一定期間、警備員など一定の職業に就くことができなくなる等のデメリットもあります。

もっとも、破産により全ての財産を失うわけではありません。東京地方裁判所では、99万円までの現金、残高が20万円以下の預貯金、売却見込額が20万円を下回る自動車、解約返戻金が計20万円未満の保険契約等は、原則として換価の対象とならない(破産管財人により処分されない)とされています。

また、自己破産しても、戸籍や住民票に記載されるわけではなく、選挙権を失うこともありません。 ギャンブルや浪費等により過大な借金を負った場合(免責不許可事由がある場合)には、免責が許可されないこともありますが、そのような場合でも、破産申立てを契機として生活を改善し、真摯に破産手続に協力すれば、裁判所の裁量により、免責が許可される余地は十分にあります。

個人再生

個人再生は、裁判所から認可を受けた返済計画(再生計画)に従い、借金を大幅に減額し、3年~5年の長期分割により支払う手続です。

自己破産とは異なり、借金が全額免除されるわけではなく、法律で定められた一定額を返済する必要があります。
その代わりに、自宅や自家用車等の資産が直ちに処分されることはなく、自己破産のような職業制限もありません。また、免責不許可事由がある場合でも、個人再生は影響を受けません。

つまり、個人再生は、以下のような場合に有用な手続であるといえます。

  • 自宅を手放したくない場合
  • 自己破産をすると仕事を続けられなくなる職業に就いている場合
  • 自己破産をしても免責が許可されないと予想される場合